Harrison’s podclass 勉強会

Podcast “Harrison’s podclass” を用いて勉強します。Harrison's podclassはAccess Medicineが提供しているpodcastです。

ショック③

若年女性、突然倒れた

  • 公園でジョギング中に突然転倒し、目撃者が救急要請。
  • 鼻骨骨折があり、歯も折れた。身分証なく年齢は不明。
  • 来院時は覚醒していたが、混乱していた。
  • HR 280 bpm, BP 60 (動脈触知可)
  • モニター波形: wide complex tachycardia

 

鑑別診断として誤っているもの2つは?

A.洞性頻脈

B.心房細動

C.心室細動

D.多源性心房頻拍

E.心室頻拍

 

正解: A. 洞性頻脈, C. 心室細動

  • 洞調律の上限 (220-年齢)を超えており、洞調律でない
  • 覚醒して脈があるため心室細動ではない
  • Wide complex tachycardiaの原因は心室性頻脈が多いが、房室結節を通らない場合や、もともと伝導路に障害がある場合は上室性頻脈でもWide complex tachycardiaとなる

 

続き

 

  • 12誘導心電図: Wide complex tachycardia, irregularly irregular, P波がない
  • 心房細動と考えられた

初期対応はどれが最も適切か?

 

A.アミオダロン

B.リドカイン

C.メトプロロール

D.除細動

E.肺塞栓プロトコルで造影CTを撮像

 

正解: D. 除細動

解説: 患者は低血圧で脳血流の低下による混乱をきたしており、不安定である。迅速な除細動が必要である。

A. アミオダロン、C. メトプロロールは安定している時に有効。PEが鑑別でCTに行けない時は経験的な抗凝固治療が許容される。リドカインは心室性頻拍に使用する

ショック②

19歳男性 血痰

  • 嚢胞性線維症の既往がある大学生
  • 試験勉強中に、突然大量の血痰で救急搬送
  • sBP 70, HR 145, SpO2 85%(r.a.), RR 40
  • ほとんど話すことができず、顔面は蒼白、呼吸促迫
  • 右肺で呼吸音低下、CXpで右全肺野の透過性低下

次のうち対応として誤っているものは?

 

A. 気管支鏡検査で、焼灼やレーザー治療も検討する

B. 気管支動脈造影検査 IVRを放射線科と協議する

C. ダブルルーメンのチューブで気管挿管する

D. 患者を左側臥位にする

E. 2本の太い(18G以上の)末梢静脈路を確保する

 

正解: D. 患者を左側臥位にする (右側臥位が正しい)

解説: 健側に血痰が流れ込まないよう悪い肺を下にする。

まずはABCを安定化する。太い2本のルートで大量に細胞外液を投与する(E)。呼吸不全があり気管挿管を行う。ダブルルーメンを用いることで分離換気できる(C)。A,Bは原因の治療として有効である。

 

"bad lung down" と覚える

ショック①

 

42歳男性 発熱、低血圧

  • 20歳時、外傷により脾臓摘出後。ホームレス。
  • 適切なワクチン接種を受けており、10年以上受診なし
  • BT 39℃, BP 70/40 mmHg, HR 130 bpm, RR 30 回/分, SpO2 95% room air
  • Overwhelming sepsisによる多臓器不全で死去

起因菌として最も可能性が高いものは?

A.E.coli

B.Haemophilus influenzae

C.Neisseria meningitis

D.Pseudomonas aerginosa

E.Streptococcus pneumoniae

 

正解: E. Streptococcus pneumoniae

解説:莢膜を有する菌は、血液中で自然に濾過されないために脾摘後の敗血症(死亡率50%)の原因となりやすい。H. influenzae, Neisseria meningitisによる敗血症も多く、脾摘後はこれら全てに対するワクチン接種が必要。

 

 

Podclassの構造

Harrison's podclassは同じ構造に基づいています。

 

1.はじめに

”Hi. Welcome to Harrison's Podclass where we discuss important concepts in internal medicine. I'm Cathy Handy. And I'm Charlie Wiener, and we're coming to you from the Johns Hopkins School of Medicine.”

"ハリソン・ポッドクラスへようこそ。内科学の重要なコンセプトについて議論します。Cathy HandyとCharlie WienerがJohns Hopkins School of Medicineからお届けします。"

 

2.症例提示

●歳●性、主訴、簡単な経過をCharlie Wiener先生が解説

3.最初の考え

症例の基本情報をもとに、内科医として最初に考えることをCathy Handy先生が解説

4.質問

「本症例のマネジメントで最も適切なものを選べ」などの多選択肢の質問をCharlie Wiener先生が投げかける

A. ~~

B. ☆☆

C. ●●

D. △△

E. ■■

5.解説・正解

それぞれの選択肢について、不正解も含めてCathy Handy 先生が解説

6.Teaching point

症例のまとめと教訓をCharlie Wiener先生が解説

7.For more information

さらに学習したい人のためにHarrison内科学の当該章やNEJM/JAMAなどの関連文献をCathy Handy先生が紹介

 

本ブログでは、リスニング教材という観点から聞き取りにくい単語や症例提示の表現の仕方など、各エピソードごとに「リスニングのポイント」を一つピックアップして取り上げます。